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P.T.はホラーゲームの価値を変えたか

2014/08/24 11:28 Category:日記、雑記
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がいつも雑感を書く時、三つ自戒している事がある。
 クリアするまで書かない。点数をつけない。貶さない。この三つだ。
 今回題を雑感としなかったのは、うち一つを破るためだ。私は本作をクリアしていない。否、できないでいる。

 芸人の江頭2:50氏が言ったらしい。
「驚かせるのがとにかく好きなんですよ。驚きの一番上は恐怖じゃないですか。それと笑いはいつも俺の中で一緒なんですよね」
 笑うということを主観においてこの言葉を見ると、なるほど笑いとは、平静の中に突如現れる変化への驚きの発露だと思えなくもない。
 恐怖という観点から見たらどうか。驚きの最上表現であることは間違いないだろうが、笑いとの共通項はどうだろう?
 本来動物にとって恐怖とは、生死に直結するものであり、本能的に忌避すべき対象である。
 恐らく様々いる動物の中で、自ら恐怖を作り出し、それに晒される事を娯楽にする生き物は、人間だけではないだろうか。
 それを文明の力で創造し、制御し、その中に身を置いて享受する。笑いと恐怖の共通項かも知れない。

 痛みには限界があるが、恐怖は無限だ。と言った人がいた。だとすれば、人はどこまで恐怖を創造できるのだろうか。
 今年、その最先端が意外な形で姿を現したようである。

 P.T.と題された、一本のPS4専用無料配信タイトル。聞き慣れない開発社名に陰鬱なイメージ写真。ホラーゲームらしいということ以外、事前情報はない。
 開始すると、コンクリートに固められた、ドアと蛍光灯がひとつずつだけの一室から始まる。
 この時点で私は硬直した。その壁の、そのドアの、その灯りの存在感が、今までもゲームとは明らかに異質であったのだ。
 絶対このドア向こうに、歓迎されない何かが存在している事を、その1シーンだけで嫌というほど悟る事ができてしまった。
 PS4の描画力を、このシンプルな構造に集約するとここまで描けるのかと驚嘆した。
 意を決してドアを開ける。戸建ての家の廊下が伸びている。外は真っ暗。電気も薄暗い。進んで行くと、そこにある時計が23:59を示していた。
 妙に散らかった角を曲がると、また廊下が伸びている。右に部屋のドア。左に玄関らしきドアがある。が、どういうわけか開かない。つけっぱなしのラジオから、一家惨殺事件のニュースが流れている。犯人は、その家族の父親らしい。
 別の扉を開ける。やや下った階段を降り、ドアを開けると再び廊下がある。はて、どこかで見た廊下だ。進んで行くと、そこにある時計が23:59を示していた。あれから1分は経っていると思うが……。
 進んで行くと、やはり廊下と三つのドア。そしてつけっぱなしのラジオがあった。
 だが今度はどのドアも開かない。おかしいと思っていると、どこからか泣き声が聞こえてきた。赤ん坊のものらしい。誰かいるのか?なぜ泣いている?
 と、背後で音がした。さっきは開かなかった部屋の扉が、少し開いている。
 近付くと、泣き声が一層強くなった。ここにいるのか?ドアに近付き、微かに沸き上がっていた強烈な警戒心を押し殺し、隙間から部屋をのぞいた。そのとき−−−−−。

 と、この先は各々自力でお確かめ頂きたい。
 あざとく引いてしまって恐縮だが、この怖さはプレイしてもらってこそ存分に伝わると思う。
 現在本作を巡り、多くのプレイ動画や関連記事がアップされているが、まだ耳にしていないのなら、事前情報を持たず、そのままプレイされる事をお勧めしたい。
 ネタバレをさけつつ本作を語るのは大変苦労するが、ゲームというメディアと、ホラーというジャンルをここまで噛み合わせられるのかと感動した。
 上記の勝手に扉が開くシーンにしてもそうだ。もし現実にそんな場面に遭遇したら、大抵の人は扉にも近付かないだろうし、映画ならばこちらの意図に関わらず物語が進行するので、観客は選択する事ができない。
 だがゲームは、ユーザーが進めなければ何も起きない。しかもゲームである故、ある程度安全が保証されており、クリアしなくてはならないという課題意識も働く。
 恐怖を自力で搔い潜るような感覚を、ここまで与えてくれるゲームは、なかなかないだろう。

 私は(恐らく)序盤で中断してしまった。従来のホラーゲームなら、敵(恐怖の対象)を倒せたりグラフィックがやや荒かったりと、感覚的な逃げ場があった。それにゲームである以上、クリア「させる」ことも念頭に設計しなくてはならない。
 だがこのゲームは、そんなことお構いなしに容赦なくプレイヤーを責め立ててくる。埃っぽい空気の匂いすら漂うグラフィック、ノイズ混じりの音、平穏を感じさせないオブジェクト、やたらリアルなゴキ●リ、計算し尽くされた演出タイミング。
 ゲーマー人生三十年。ホラーゲームにも耐性はついていたつもりでいたが、本作はそんなハードルを容易く超えてきた。あの人はやはり、鬼才だ。

 私のように途中で投げ出すことさえ望んで作ったという、恐怖の一番上にあるホラーゲーム。
 なぜ本作は生まれたのか。誰が作ったのか。その答えは是非、あなたの手で確かめて頂きたい。

 できるものなら……。
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