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雑感・METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES

2014/03/27 20:36 Category:ソフトレビュー
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こには、一枚の鉄板が敷かれていた。
 土が剥き出しになった道と、コンクリートを敷いた区画に出来た10センチほどの段差を、薄手の鉄板で覆ってあった。
 私はその鉄板に、甚く感動した。

 世界で戦える国産ゲームの尖兵、メタルギアソリッドシリーズの最新作。その序章というべき、短編ゲームである。

 あるいはジャック、あるいはビッグボス、あるいはスネークと呼ばれる男。
 核の緊張に包まれた冷戦下。コスタリカにて行われていた、自動核発射システムの完成を阻止したスネークは、ついに自身が核を手に入れるに至る。
 だがその戦いの末に、彼を裏切った1人の少女が海に消えた。
 間を置かず、IAEAから核査察の申し入れが入る。国家ですらない自身たちへの接触を訝しがるスネーク。だが仲間の説得もあり、これを受け入れることにする。
 時同じくして、生死不明となっていたあの少女が発見され、キューバ南端の米軍基地で『尋問』を受けていると知らせが入る。しかもスネークの仲間の少年兵が単独で救助に向かい、逆に捕らえられてしまう。
 IAEAの査察を仲間に任せ、スネークは1人キューバに立つ。あまりにささやかであまりに悲愴な、プロローグが幕を開ける……。

 メタルギアシリーズは、敵を倒して突き進むゲームが当然であった時代から、敵から隠れてひっそり通るゲームという、かくれんぼコンセプトを軸に、ハードウェアの進化と相俟ってその表現力を高めてきた、ゲーム界の巨星の一つだ。
 その最新作は『GROUND ZEROES』と『THE PHANTOM PAIN』という二部構成でリリースされる。従来のメタルギアは、ステージの区画がユニットのように分けられ、それらがある程度直線を描くように配置され、スタートからゴールまで、そのルートをなぞることで進む、リニア(直線状)と呼ばれるスタイルだった。
 今回はステージを一個のフィールドにまとめ、その中での行動を最大限自由にするという、オープンワールドのスタイルを取っている。
 TPPの前にGZをリリースしたのは、今までのリニアスタイルに慣れたユーザーが、突然オープンワールドのメタルギアに放り込まれて目を回さぬようにとの配慮だろうか。

 実際プレイしてみると、なるほどこれはと唸ってしまう。敵の配置、アイテムの配置、障害物の配置。どれも意図的であるようで意図的ではなく、限りなくプレイヤーを放り出しているようだ。
 伊集院光氏がHALOのマルチプレイを評して言った「公園におもちゃだけ置いとくから、あとは勝手に遊んでちょうだい的な設計」がそこにあった。
 だがもちろん、公園の設計に抜かりはない。つぶさに見ればクリアしやすい道筋作りはしてある。名物のソリトンレーダーはないが、マークした敵の行動を静止中のみ感じ取れる機能や、見張り台の敵の視線を示すサーチライト。なぜか工事中で蓋が外れてる排水溝などもそうだ。
 そんな開かれた世界の中で、プレイヤーはゴールを目指してすすむことになる。が、その方法は決して一つではない。潜るゲート、越える柵、倒す敵、すべてがプレイヤーに委ねられ、攻略ルートは十人十色になる。最適解はあるだろうが、絶対解は存在しないのだ。
 無論今までのMGSでも、ある程度の自由はあった。だがそれはマップの中のユニットにまとめられた範囲でのこと。ユニットに入る時と出るときに、テロップと読み込みを挟んであった間でのみ、自由が保障された。そしてユニットを通る順序は、限りなく固定されていた。極大な見方をすると、かくれんぼというより、だるまさんが転んだに近かった。
 今回はスタートからゴールまで、読み込みもテロップも挟まない完全な地続き。進行ルートの幅が段違いなのだ。スタートから基地内に入るだけでも最低2ルート。目的地に行く道は数え切れない。さらに攻略手順も……と、このあたりは黙っておこう。
 しかも次回作になるTPPは、このマップの200倍ある世界になるという。縦横で約14倍。聞いただけで目が回る。

 そんなひたすら広く、どこまでも作りこまれた世界で、私が目を奪われたのは、何の変哲もない鉄板だったのだ。
 職業柄、そういった工事備品に付き合う機会が多いこともあっただろう。あるいは過去作にも、同様の物はたくさんあった。だがオープンワールドというそのゲームの箱庭の中で、底抜けにリアルに作りこまれた一枚の鉄板に、私は目を奪われたのだ。

 言ってしまえば、ゲームにおいてそんなものを置く必要はない。ゲームであれば段差をなくすことなど容易であるし、鉄板一枚にしたって、立派に容量を消費するオブジェクトだ。
 だが雨に晒された土の道と、余所余所しいほど整ったコンクリートのフロアを繋ぎ、斜めに差し込むサーチライトの光に、表面の凹凸を露わにしたその鉄板は、そこが人の営みの息づく空間であることを暗に伝え、ひいては、それをよいしょよいしょと設置する兵士達の姿すら思い描かせ、モニターの中に紛れもない『世界』を存在させていた。
 そういえば以前、グランドセフトオートの記事を書いたとき、葉をリアルに描くため、葉脈にまでこだわるような描き込みについて語った。まさにこれは葉脈だった。鉄板も照明も雨も兵士も、すべてがこのゲームの息遣いを演出する、目に見えていて見えない葉脈なのだ。
 鉄板一枚から随分話を広げたが、鉄板一枚にすらそんな作りこみを感じ取れるゲームなのであれば、その他の目に見える部位へのこだわりは推して知れよう。そして一度プレイすれば、その深みを存分に感じ取れるはずである。

 シナリオについてはあまり語らないでおこう。これはMGSVの序章。この後に起こるであろう衝撃の、ほんの爆心地に過ぎない。その評価は、TPPをクリアしてから下すべきだ。

 2千円強という価格から分かるとおり、ゲーム内容は短めである。が、攻略ルートの開拓からクリアランクの評価。思わぬタイムアタックやヘビーなコレクトアイテム探しなど、深みは存分に湛えている。
 誕生から四半世紀。ついに、ついに本当の「かくれんぼゲーム」としての姿を現したメタルギア。その序章を眺めつつ、TPPに強く思いを馳せる。ああ、待たせてくれるなァ。
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