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書評・長嶋有漫画化計画

2012/08/02 19:36 Category:日記、雑記
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nyuu
らくは、人間が頭の中で記憶し、想像するものは、映像と音であることがほとんどだろう。
 言葉や文章にしても、それを作ったり思い出したりするとき、頭の中に浮かぶのは文字を印刷した本の映像であったり、誰ともない声であったりする。
 つまり脳は、事実上文字を記憶し創出する力はなく、人の手がそうした形に変換しているに過ぎないのだ。
 早速ややこしい話になったが、つまるところ物語とは、作者の頭の中に生まれたときは、絵と音声を伴った映像作品であることがほとんどなのだ。
 小説家はそれを文字によってのみ表現する生き物だ。頭の中の映像や思想が思い通りの言葉に変換され、読者に伝播することに愉悦を覚える人種なのだ。
 まだややこしい話から抜け出せないが、早い話、絵として想像してたお話なら、絵で表現しちゃった方がよくね?ということだ。
 そして今回ご紹介するのが、直木賞作家長嶋有の短編小説数本を漫画化した連載を集めた単行本である。

 実生活の目線で描かれた、少し不思議で可笑しい長嶋有の空気はそのままに、15+1名の名立たる漫画家たちが、己の手で見事な漫画へと変換している。
 しかして何が面白いかといえば、この分厚い本をぱらぱらと捲ったときのまとまりのなさだろう。
 萩尾望都の鮮麗な線で描かれる、北国の兄妹の長い夜『十時間』
 100%ORANGEが抽象的なシルエットで演じる、不思議な空の下の男女関係『女神の石』
 吉田戦車のゆるい筆致にはまり過ぎのゆるい親子像『ジャージの二人』
 陽気婢の普通で可愛いキャラに飾られた、実話ベースの快作短編『エロマンガ島の三人』
 カラスヤサトシのツートンカラーが醸しだす、濃い口の日常風景『夕子ちゃんの近道』etc...
 どれ一つとして似たようなタッチの漫画は存在しない。ともすれば、まとまりのない大人の漫画の羅列にしか見えない。
 だがすべてを具に見て行くと、名もない市井の人を覗き見ながら、ちょっとした変化を与えることで、たちまちに芳しい短編に仕上げてしまう、長嶋有のタクト捌きが確かに感じ取れる。
 それぞれの作品が持つオーラにぴたりと嵌った絵柄もまた、コミカライズの至上を見るようである。

 以前小欄で紹介した短編集『エロマンガ島の三人』に収録されている作品も登場する。が、改めてこの一冊を読んで思うのは、漫画化されなかった短編も漫画化して欲しいな。ということだ。
 不可思議空間を歩くような『アルバトロスの夜』を、黒の使い方に秀でた漫画家に描いて欲しい。
 ドライな官能小説『ケージ、アンプル、箱』を、大人の漫画なんか描いたことがなさそうな人にあえて描かせたらどうなるか?
 あの男の後日談『青色LED』を、同じあの人に描いてみてほしい。
 どめどない欲と妄想が溢れるのは、本作の不完全さを埋め合わせるものでは決してなく、長嶋有の物語を、彼の脳裏に浮かんだ姿に最も近い形で見てみたいという欲だと思うのだ。

 世界を救うでも目標に邁進するでもない、漫画というスタイルで綴られた、長嶋有の少し不思議な日常賛歌を、この機会にどうぞ一献。
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