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雑感・アスラズラース

2012/03/02 18:56 Category:ソフトレビュー
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asr
えば仮面ライダー。変身ポーズを真似し、近所の公園を走り回ってショッカーと戦い、泥だらけで家に帰って母親にこてんぱんに叱られた方も多いと思う。
 例えばウルトラマン。スペシウム光線を撃つ真似をしたり、ホースでウルトラ水流を真似してびしょ濡れになり、家に帰ってやはり母親にこてんぱんに叱られた方も多いのではないだろうか。
 つまるところ、ヒーローを真似ることは気持ちが良いのだ。真似る事にどこか気恥ずかしさを覚える年頃になると、人はヒーローから一旦距離を置き、あの頃の無邪気さを懐かしむ年頃になると、再びヒーローに憧れる。
 子供の頃のように泥だらけになったり、びしょ濡れになることに抵抗が生まれてしまうかもしれないが、ヒーローと同調してみたいという思いは、きっと消えていないはずである。

 ゲームにマンガ的手法やアニメ的演出を積極的に取り入れ、生々流転のゲーム業界にあって常に異彩を放つ開発会社サイバーコネクトツー。
 新たなパートナー、カプコンとのタッグ作品第一弾は、少年漫画の熱をそのままに、新たなコードヒーローを生み出した。

 遥か太古なのか、遥か未来なのか。
 神人類と呼ばれる者が地上の人々を支配し、大地より沸き起こる災厄の化身『ゴーマ』との戦いに明け暮れる世界。
 神人類最強の戦士である八神将の一人アスラは、何者かの謀略により反逆者の汚名を着せられ、妻を殺され、一人娘ミスラを奪われてしまう。
 深い絶望の淵に落とされてより一万と二千年後。地上に立ち戻ったアスラの前に広がっていたのは、何ら変わることなくゴーマが跋扈し、浄化の名の下に神人類が人間の魂を掻き集めるという、不条理が罷り通る世界だった。
 アスラの中に何かが湧き起こる。心臓を燃やし、五臓六腑を駆け巡り、文字通り頭に来る苛烈な感情。それは『怒り』
 アスラは憤怒を込めた拳を振り上げる。神とゴーマを敵に回し、たった一人の戦いが始まった…。

 ゲームのベースは打ち込み型のアクションゲーム。並居る敵をぶん殴って進む、というのはどちらかといえば繋ぎのように見える。
 そもそもこのゲームを、従来のアクションと同列に扱うのは危険である。発想も構成も、全く逆なのだ。
 本来アクションゲームは、プレイヤーに行動の選択肢を与え、その限りにおいて自由を保障し、その上に物語と演出を加味していく。
 だがこのゲームは、はじめに語るべき物語があり、それを押し広げる演出の一環としてアクションが存在するのだ。

 もう少し噛み砕いて解説するため、先日取り上げたアサシンクリードを例に採る。
 プレイヤーキャラのエツィオには、歩き、走り、ジャンプ、攻撃、防御、掴みといったアクションが用意され、プレイヤーは状況に応じてそれらを使い分け、ストーリーを進めていく。
 本作の場合、同様に自由に動き回れるパートはあるものの、主な流れはムービーシーンにより構成される。ではボーっと見ているだけでいいかとおもえばさにあらず、そのムービーの要所要所で、プレイヤーの操作が要求されるのだ。
 アスラがジャンプするシーンではジャンプボタンを押し、パンチを連打するシーンではパンチボタンを連打し、両腕を広げるシーンではLRスティックを左右に広げるように操作する。
 つまりこのゲームは、ストーリーと演出の上にアクションがあるのだ。
 それが何を生み出すか?詰まるところは同調感である。
 画面の中のアスラと共に、飛び上がり拳を振り下ろし、霰のように殴り続けてまた飛び上がり、轟音のような大音声と共にとどめの一撃を食らわせる。
 敵が惑星ほどに巨大化し衛星のような指で押しつぶしてきたり、島のような戦艦が星の数ほど攻めてきたり、しまいにゃドボルザークの新世界をバックに、月面で殴りあいなんかされた日にはもう笑うしかない。
 クールになったら負け。とことんアツく深く入り込んだ人にだけ、この面白さは満遍なく伝わるだろう。
 ただのアクションとは違う、アニメ的演出の世界に介入する快感。高精細な映像を描き出すアンリアルエンジンと、漫画やアニメの技法を極めたCC2だからこそ許された、当代最強のヒーローごっこゲームなのである。

 煩雑なシステムや、深すぎるストーリーにやきもきしている方。怒りと言うただ一つの感情により描き出される、まっすぐで馬鹿でかいゲームを、一度ご堪能されてはどうだろうか。
 蛇足だが、このゲームがキネクト対応でリリースされなくて良かった。もしされていたら、熱中するあまり下の階の住人にこてんぱんに叱られた方も多いと思う。
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