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おねだん以上の文化

2011/11/14 19:49 Category:業界
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舞伎役者がよく「○○屋」という屋号で呼ばれる理由をご存知だろうか?
 近代以前。歌舞伎や落語、相撲や大道芸などを志す者は、社会の人間として扱われなかった。
 社会とはいわゆる士農工商がそれであり、物を生産し販売するシステムと、それを管理するシステムのことであり、物を生まずに金を得ようとする人々は「かわら者」と呼ばれ、侮蔑の対象にもなっていた。
 しかし彼らは同時に、社会に与する事を強く望んで止まなかった。歌舞伎役者が屋号を名乗るのは、我々も世間様同様に商いをしていますよという、自己主張の表れなのだ。
 余談だが、ある落語家が税務署から税金を納めに来るよう言われたとき、うれしさの余り紋付袴に提燈立てて、真打襲名のお練のような行列を組んで税務署に参じたという逸話も残っている。
 歌舞伎役者が受勲したり、落語家が人間国宝に選ばれるようになった近代から見れば、隔世の感も一入だが、彼らに金を払う消費者の意識もまた、随分と様変わりしたように思える。

 過日、ツイッターでこんな意見を見た。ゲームをコミックスのような分巻にして販売できないだろうか?というものだ。
 ゲーム一本の価格があまりに高く、これでは不良作や不適作に出会ったときのリスクが高い。入り口を安く提供し、続きが遊びたいと思ったら先を買い、自分には合わないと思ったらやめる。というものだ。

 私の意見を結論から書こう。甘ったれるな。

 確かにゲーム一本の価格は安くない。特に昨今その傾向は著しい。だがゲームは、途中でやめることなど前提に設計はしない。最初の一文字からエンドマークまで、プログラムは全て繋がっているのだ。
 もしこうしたシステムが実現されたら?当然作り手は全部買わせたいと願う。どこで区切るか、どう引っ張るかという話にもなる。ストーリー主体のゲームにとって、個性や作家性の邪魔にしかなるまい。
 またこういう場合、二巻以降の売り上げが一巻の売り上げを超えることはありえない。そうすると当然予算に制約が生まれる。そうしないために一巻で多く本数をだそうと、悪戯に価格を下げたり内容を濃くしたりする。そうなればシリーズの尻すぼみを助長させ、ゲーム全体の評価を下げかねない。
 何よりユーザーの間に、どうせこういう風に作っているんだろうという物の見方が蔓延してしまうことが恐ろしいと思うのだ。

 いいゲームが安く買えたら。とは、当然誰もが願うことだろう。だがゲームはあくまで余興。その評価は十人十色あっていい。プレイした後、そのゲームを高かったと思うか安かったと思うかは、人によりけりなのは当然である。
 面白そうなゲームがある。しかし値段が高い。そう思ったならば買わなければいいのだ。
 永六輔の買い物の話は何度も引いたので割愛するが、それを買った人はそのゲームに負けたのだ。その分ゲームが面白ければ、負けた気持ちも癒される。つまらなければ負け分丸々損をする。だがその損は、あなたの価値観をあなたに教えてくれる授業料にもなる。
 身銭は切った分だけ見る眼を育てる。自身の楽しみのためにある趣味にまで、手軽さやコスト比較などに勤しんでは、本当にそれを楽しめるだろうか?

 要は「覚悟」を手軽にするべきではないと思う。
 ユーザーがメーカーに対し数千円を支払う覚悟が、ユーザーのゲームを見る目を養い、メーカーがユーザーに数千円を支払わせる覚悟が、よりよいゲームを生み出させる。
 ゲームは今や経済の一環となった。メーカーは屋号を名乗るまでもない。社会に与せねば生きることが出来なくなった。
 だが価値観まで、世間のそれに与するべきなのだろうか。価格が重視されるもの、品質が重視されるもの、耐久性が重視されるもの。品物には様々な価値がある。
 ゲームの価値を主張するため、安さや手軽さを排する必要と、それをユーザーに支払わせようという覚悟があるなら、それもまたよいのではないだろうか。
 軽い覚悟で売り買いが出来てしまったら、文化としての程度を落としかねない。手軽に生み出され過ぎ、安く多く作られすぎたアタリのゲーム機が何を招いたか…。

 もう一度言う。ユーザーもメーカーも甘ったれるな。自分が好きなものの価値くらい、自分で決めるべきだ。
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