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憂先順位

2010/06/04 21:18 Category:日記、雑記
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国北宋時代の政治家、范仲淹の言葉に『先憂後楽』というものがある。
 政治に携わるものの戒めとして説かれたもので、天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ、という意味だ。
 水戸徳川家の江戸屋敷内に築かれた小石川後楽園の名はこれに由来する。徳川治世の安泰ぶりを祝い祈っての命名だろうか。光圀公がドラマのように家臣を従え、明媚な景色に目を細める姿が想像できる。

 ここで一向に安定しない政局や経済情勢に関して筆を進めては、他の新聞コラムと変わりはない。ここはゲームのブログ。ゲームについて書いていこう。
 まれにゲーム業界の方とお話をさせていただく機会がある。そんな時はその方が作ったタイトルの感想や意見を、率直に伝えてきたつもりである。
 そこで時折聞かれるのが、現場からの嘆息混じりの声である。「御説御尤も。しかし実は…」といった具合だ。
 無論委細は胸にしまう。だがその中身を具に聞くと、なるほどそちらの御説も御尤もと思わなくもない。誰も好き好んで作品に短所を残しはせず、それを洗い出す作業にも余念がない。先憂は成されているようだ。
 しかしてユーザーの手に届けば、千人万色の評価に晒され、あれが駄目これは違うと指弾に晒される。メーカーにとっては先憂先憂の思いであろう。

 と書いたところで、思い出された逸話を一席。
 宮本茂がファミコンで最初のスーパーマリオブラザーズを作ったとき、マスターアップが済んでもなお不安であった。やれることはやった。だが果たして、それを受け入れてもらえるだろうか…。
 発売前のある晩、彼は夜中にカートリッジの生産工場の明かりが煌々と点いているのを見つけた。誰がいるのかと覗いてみると、工場のスタッフたちが出荷前のスーパーマリオで遊んでいた。
 まだTVゲームが今ほどの市民権を得るはるか前、ゲームなどとは無縁そうな中高年の男たちが、子供のようにはしゃいでいたという。
 それを見た宮本はヒットを確信した。結果は言わずもがなである。
 ユーザーよりスタッフが楽しんでしまうようなソフトなら、きっと世間にも受け入れられて先楽後楽となるだろう。昨今なかなか生まれにくいかもしれないが。

 以前も引いた逸話をもう一席。
 喜劇俳優の古川ロッパが、帝国劇場での公演を大成功で収めたとき、劇場支配人が青い顔をしているのを見かけた。
 満員御礼の中で何を憂いているのかと訊ねると、支配人は答えた。
「この客入りが明日も続くか、そのためにはどうしたらいいか、考えただけでも気が重い」
 ロッパはその日の日記に『客が入って青くなる興行師はいい興行師なり』と記し、彼を讃えた。
 売れれば売れたで続編が待たれるのは、ゲームのみならずショウビジネスの常。続編でせっかくの客入りを台無しにするまいと東奔西走するわが身を憂う先憂後憂なら、客としては歓迎したい。

 ツイッターでクリエータの方々をフォローしていると、ワーカホリックのようにゲーム作りに勤しんでらっしゃる方が頻繁に目に付く。ひとつのゲームを作り終えるや、もう次のゲームにかかっていることもざらだ。
 ユーザーとしては頼もしい限りだが、いつか副作用にでも見舞われはしないかと心配してしまう。
 しっかり働きしっかり休む。仕事を理由に何かを諦めない。難しいかもしれないが、何より諸氏にはお体を大事にしていただきたい。
 製作中はユーザーの憂いを先んじて憂い、完成したらユーザーと一緒に楽しむ。先憂共楽なんて考え方は、いかがでしょう?
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