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雑感・Toy Soldiers

2010/03/20 19:16 Category:ソフトレビュー
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toy
ヶ月間のご無沙汰でした。
 先日、360の新作ソフトカタログをめくっていて、はたと思ったことがある。中世的な剣と魔法の世界を舞台にしたゲームを、見た目で判別することが難しくなっていたのだ。
 プレステが2になる頃、実写のようなCGでそういったゲームを作っていたのは、当時のスクウェアくらいであった。しかし今やそんなクオリティは当たり前になりつつあり、剣と魔法とモンスターを描いたゲームは、一見すると似たようなヴィジュアルになっている気がする。
 これは無理なからぬことであろう。こと「現実的な映像」を目指すということは、皆同じゴールへ向かって進んでいくと言うことなのだ。現実とは、我々の目の前に広がるこの世界が唯一絶対のゴールなのだから。
 2Dでグラフィックを描いていた頃は、各クリエータが各々違うゴールを見据えていたように思える。それは絵を描くことと同じだった。絵画表現に唯一絶対のゴールなど存在しないからだ。
 ではゲームが3Dになった以上、独自表現という概念は事実上無くなったのだろうか?答えは否である。少なくとも、このゲームを見る限りそう思える。

 取っ付きやすく明快で奥深いタイトルが並ぶXBLAに、実に「らしい」タイトルが加わった。
 ゲームの目的は、第一次大戦下における連合国軍を操作し、ドイツ軍を撃破すること。ここまで聞くと単なるレトロウォーシミュレーションかと思うかもしれないがさにあらず。その舞台は机の上であったり、芝生の上であったりする。
 何のことかと思うかも知れないが、タイトル通りおもちゃの兵隊を扱ったタワーディフェンスタイプのシミュレーションなのだ。

 タワーディフェンスとは、プレイヤーが積極的に敵地へ攻め込むことを主とせず、侵攻して来る敵を目的地に到達させないため、固定銃座などのユニットを配置してその進軍を阻む、言わば専守防衛型ゲームである(あってるのかなこの例え…)
 プレイヤーはまず、与えられた資金内でユニットを配置する。配置できる場所と種類は決められおり、各々の射程と特性も異なる。ユニットは射程内に入った敵を自動で攻撃する。
 敵を倒すごとに資金が増え、それを元手に新たなユニットを設置したり、今あるユニットをアップグレードしたりできる。
 他のタワーディフェンスと違うのが、すきなユニットを選んで操作することができることだ。これにより射程外の敵に攻撃を仕掛けることが出来るほか、敵を連続で倒した際にボーナスがつく。攻略には必須の手段なのだ。
 また戦車や航空機も操作できるが、あくまで主題は専守防衛。自軍の邪魔になる敵ユニットの攻撃が、これらの主な仕事になる。
 一見シンプルだが、じゃんけんのような相克関係と設置ポイントの制約がにくたらしいほど邪魔臭く、考え出すと深みにはまってしまいそうになるシミュレーションなのだ。

 しかし何より私が感心したのが、このゲームをおもちゃのジオラマの中に設定したことだ。
 もしこのゲームが、ただ第一次大戦をテーマにし、実在の兵器を並べただけのタワーディフェンスであったら、恐らくここまでプレイヤーを惹きつけはしなかっただろう。
 この戦いは机の上に置かれたジオラマの上で、おもちゃの兵隊やゼンマイ仕掛けの戦車が繰り広げており、防衛拠点は大切なおもちゃ箱であり、空を見上げれば巨大な本や電気スタンドが戦場を見下ろしている。ユニットはコレクションフィギュアのように作られ、撃破すると血しぶきではなく歯車が飛び散る。
 このレトロなおもちゃが醸し出すコミカルさと温かみが、制約が多いゲームに「許せる気持ち」をもたらしている。
 アナログゲームの醍醐味ともいえる「空想による補完」を、空想を現実のように描けるTVゲームに用いることで、緻密なグラフィックを描き出すこととは違った趣を持つ「リアリティ」を演出しているのだ。
 かといって、グラフィックに不都合があるかといえばそんなことはない。コレクショントレイの上に飾られた精緻な兵器や兵隊の数々は、手を伸ばして触れれみたくなるほどだ。

 かつてのゲームの中のキャラクターたちは、小さくてどこかコミカルな、おもちゃのような風貌をしていた。そして精緻な表現が可能になった今。古いおもちゃに惹かれる大人のように、おもちゃそのものを表現してみせた。
 結局人は遊ぶことを卒業できないのだと、この不思議なゲームは教えてくれた。
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