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ゲーム論説ブログ

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RED BULL 5G 2015 FINALS に行ってきた

2014/12/28 10:02 Category:イベントレポート
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12月21日。東京秋葉原で開催された『Red Bull 5G 2014 FINALS』に行ってきた。
 日本を東西に分け、各ブロック5ジャンルのオンライン予選を勝ち抜いたトッププレイヤーを決定。このFINALSでそれらを戦わせ、頂点を決する。
 今年で3回目を迎える本大会。過去二大会を制した東ブロックの三連覇か、西ブロックの覇権奪取なるか。
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 今回は、あらかじめ用意された大会スケジュールでなはく、試合の敗者側が次の試合で戦うゲームを決定するという変わったスタイルで行われる。前回破れた西ブロックが選んだ第一試合種目は、フリージャンル『バイキングぽいぽい』
 採用種目として発表された際、あまりの意外性が話題となった本タイトル。対峙するのは、西の若き俊英「Falqon」「Katayumi」コンビと、過去大会別ジャンルでの優勝経験者でもある東の傑物「バイキー」「ポイガマン」コンビ。
 ステージ上のあらゆるオブジェクトをぶつけ合うという、シンプルかつハチャメチャなゲーム。試合は第1セットを西チームが取りリード。しかし経験者の余裕が出たか、東の2名があっという間に巻き返し、最終スコア3-1で勝利。同大会2ジャンル制覇という偉業を達成し、連覇へのスタートダッシュを成功させた。
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 第二試合に西ブロックメンバーが選んだのは、レーシングジャンル『グランツーリスモ6』
 GTシリーズに於いて絶対王者と称されたYAM選手が、まさかの予選敗退という大波乱の東ブロックを制した「カルソニック」「ほんだ」の、なんちゅうHNだという2名。対するは、昨年のファイナリストにして予選トップタイムを叩き出した「ねぎ」と「アユム」の2名。
 結果から書いてしまおう。ねぎ選手の圧倒的な逃げ切りであった。
 予選タイムで決まったタイムアタックのグリッド。その結果で決まった決勝レースのグリッド。いずれにおいてもねぎ選手が抜け出し、一分の隙もないドライビングで圧倒して見せた。
 他の選手にあっては、決勝のプレッシャーからか、強豪らしくないミスも目立ち、カルソニック選手とアユム選手が接触する場面などもあったが、終わってみればねぎ選手の実力を称えるしかない結果となった。
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 両軍とも先に総合優勝に王手をかけたい第三試合。東のメンバーはスポーツジャンル『みんなのGOLF6』を選択。
 初採用にして若干異色ともいえる本作でまみえるは、東はデータと思考の「VAN」選手、西は経験と勘の最年長「斬鉄剣」選手。
 9000人のオンライン予選を勝ち上がった2名の戦い。斬鉄剣選手がパー5の二打目を、ピン側2.2m(!)に寄せるスーパーショットでイーグルを取れば、VAN選手が2ホール連続でチップインイーグル(!!)を叩き出し応酬。今までの5Gにはなかった、静と動のリズムで繰り広げられる戦いに、会場が固唾を呑んで見守る。
 精緻なことこの上ないショットで猛追するVAN選手であったが、沈着冷静に最高のプレーを続けた斬鉄剣選手が逃げ切り、同大会最年長優勝の栄誉に浴した。
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 もう後がない東。起死回生の一手を託し、第四試合に選んだのはパズルジャンル『ぷよぷよテトリス』
 ここに今大会の台風の目がいた。総合優勝に王手をかけた西には、過去3大会すべてにファイナリストとして登壇しながら、一度も戴冠の経験がない無冠のぷよマスター「kamestry」がいる。相棒にこちらもテトリスの強豪「せーは」を擁し、悲願の個人総合両方の頂点を狙う。
 そんな二人の目の前に、その実力は世界……否、冗談抜きで宇宙最強とさえ言われるテトリスの王「HBM」と、ぷよぷよ新世代の旗手「selva」の最強コンビが立ちはだかり、西の優勝に待ったをかける。
 落ち物パズルにしてチーム戦という、これも異色な種目。
 試合の委細は省こう。否、私ごときが鑑みれるレベルの試合ではなかった。例えるなら機械的でさえあった。正確にぷよとブロックを積み上げることに特化されたマシンが、4台ステージに並べられ、その性能試験を見ているようなプレーであった。
 連鎖もテトリスも当たり前。あとは妨害をいかに躱しいかに与えるかの駆け引きでしかなく、わずか一手のミスがたちまち自身を窮地に立たせた。
 一進一退の鬩ぎ合いの中で観客が最も魅了されたのは、selva選手が脱落したのち、強豪2名の連鎖の応酬を一人で受け、残り3ラインまで押し上げられながらも粘りに粘ってまだ粘った、HBM選手の神懸かり的な粘りだった。負けて尚天晴れ。宇宙最強此所に有りである。
 結果タイブレークになりながらも、絶大な僅差を制した西ブロックコンビが勝利。悲願達成の瞬間であった。
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 このままでは終われない第五試合。最後の頂点を決するファイティングジャンル『ウルトラストリートファイター4』
 三年前オンライン対戦で出会い、以来オフラインでも親交を深め、琢磨しあった至上の戦友、東の「aiai」と西の「ひかりん」の頂点決戦。
 が、この日の試合は通算五分だという好カードには似つかわしくない展開。aiai選手のオフェンスが冴えず、終始ひかりん選手の独壇場。総合優勝の決した後という特異な場面での試合ということもあっただろうが、この日はひかりん選手の圧勝。西に4つ目の頂点をもたらした。
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 終わってみれば、今大会は西ブロックの圧勝。キャプテンkamestry選手は、三年目の大願成就となった。
 俯瞰で見れば、新世代と言われた勢力が振るわず、古豪や経験者の後塵を拝した形でもあった。中でも斬鉄剣選手には驚いた。四十路でもトップゲーマーになれるんや!と、年男の私は甚く感動させられた。
 年々エントリー数、レベル、そして秘められたドラマのレベルも上がっている本大会。来年はどんなゲームで、どんな戦いが見られるのだろう。若手、古参、そして女子選手にも、どんどん出てきてほしいと願う。
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追悼・水玉螢之丞

2014/12/16 22:32 Category:ニュース
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顔絵作家の山藤章二氏曰く。
「似顔絵はいわゆるそっくり絵ではない。モデルとなった人の人物評を自分の方へ引っ張りこまなければならない」
 ただその人の顔形を象ったものは肖像画。その内面、特徴を自身の目とタッチで表現してこその似顔絵であるらしい。

 似顔絵においては、その人の色気や可愛げを浮き彫りにし、オリジナルキャラにあっては、初見であるはずなのにどこかで出会ったような親しみさえ滲ませ、太めの少ない線で描かれる独特タッチは、絵を見ただけで作者がわかるほどの独自性を獲得していた。
 早すぎる訃報に、今尚実感が持てない。水玉螢之丞先生が永眠された。

 SFマガジン、ワンダーフェスティバルのカタログなどで、オタク諸兄には馴染み深い方ではあるが、私にとってはやはり、ファミコン通信(現ファミ通)の連載が印象深い。
 ゲームのキャラ表現が、性能や容量の面でまだ拙くならねばならなかった時代。ゲーム雑誌の1ページに、誌面狭しと踊り描かれたキャラクター評は、我々の持つ感受とシンクロしつつ、愛くるしい空想(妄想?)を湛え、キャラの魅力を大いに補完してくれた。
 そのつながりから、広井王子作のゲーム『火星物語』のキャラデザインを担当。この作品について語り出すと、それだけで何本分かの記事になってしまうので割愛するが、日常の架空世界で動き回るに相応しい、見たことのないおなじみのキャラたちを生み出し、水玉流の骨頂を見せてくれた。

 大の愛猫家でもあり、数年前に亡くした飼い猫が何度も夢に出て、コップで水を飲んだりしていたというエピソードが印象深い。
 今頃泉下で再会を果たされているだろうか。酌み交わす水は、さぞ甘露だろう。

 合掌。

ヴァーチャリアンは女子高生の夢を見るか(3)開発者インタビュー編

2014/12/03 08:00 Category:技術、ハード
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Project Morpheus体験会の一角では、ディスカッションルームが設けられており、SCEワールドワイド・スタジオ代表取締役会長の吉田修平氏と、バンダイナムコゲームズの原田勝弘プロデューサーが、参加者からの質問に答えていた。
 いわゆる「濃い」ユーザーからの質問に、両氏とも明快に答えられていた。ここにその一部を掲載する。
 
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>体験会のご感想は?
 吉田修平(以下吉田):大体想定してた感じの、良い反応です。
 原田勝弘(以下原田):早く発売してくれーみたいな反響が多かったです。

>改めてお聞きしますが、吉田さんがモーフィアスの責任者なんですか?
 吉田:開発の責任者は他にいます。私はゲーム開発グループの立場で参加している、メンバーの一人です。

>モーフィアス開発の立ち上げというのはいつ頃なんでしょう?
 吉田:VRの研究を始めたのが、4年前のPS3の時ですね。当時発売されていたHMDとPSmoveとをくっつけて、VRを作り始めたんですよ。

>既製品を組み合わせて?
 吉田:ええ。ただ当時のHMDは、映画を見るためのものだったので画角が狭く、VRとしては本格的なものじゃなかったんです。ただ頭の動きに映像を同期させることはできたので、みんなでそれを見て「面白いおもしろい」とやり始めたのが、プロジェクトのスタートですね。

>御社は1996年にHMDを発売していますね?
 吉田:あのチームとは全く関係ありません。あれは映画を個人で楽しむためのパーソナルディスプレイというコンセプトですから、VRではないんです。

>モーフィアスは民生品として開発されてるそうですが、理想の価格帯というのはお持ちですか?
 原田:そりゃ安ければ安いほどいいですよね(笑)
 吉田:PS4をお持ちの方が手軽に買える価格ですかね。今回も参加された方に、いくらだったらいいかと聞いているんです。

>僕は税込5万だったら買っちゃうかなぁ。
 吉田:そういう方多かったですね。
 原田:4、5万だったら出すって意見が多かったが、体験しちゃったから言える価格であって、個人的には4~5万では高いと思いますけどね。

>会場の方、8万でも買うっていう人挙手。
(私含めけっこう手が挙がる)
 吉田:おおーありがとうございます。
 原田:ほんとにー!?(笑)
 吉田:サマーレッスン効果ですよ(笑)

>原田さんが最初にモーフィアスを知って触ったのはいつですか?
 原田:HMDの研究自体は、僕のチームで3年前からやっています。モーフィアスは、去年の夏終わりくらいに現物見て、もう「えー!」って驚いた翌日に企画書持ち込みました。
 吉田:思い出した。去年のE3くらいから、業界の方に見せ始めてました。

>サマーレッスンの開発もその頃にスタートしたんですか。
 原田:企画書はその頃にはありました。

>今体験して、もうちょっと開発期間かけたんじゃないかなぁと思ったんですが。
 原田:開発期間は二ヶ月です。一ヶ月半で作って、半月デバッグしました。
 吉田:バンダイナムコさんのノウハウはあるわけですよね。
 原田:骨格とか表情筋とかのベースはあったので、比較的早くできたかもしれません。あと描画エンジンはアンリアルを使いました。なのでそんなに手間やお金かけなくても、面白いことバンバン出来るぞと……。
 吉田:特にユニティやアンリアルなんかを使うと早いですよ。

>原田さんが最初に見たVRは?
 原田:うちのプログラマが作った、積み木みたいなのが置かれた部屋のデモをオキュラスで見ました。その後いろんな方が作ってアップされたデモを見たり。鉄拳をオキュラスに対応させてみたりしました。

>どうでした?オキュラスでやる鉄拳は。
 原田:●●みたいなゲームができましたね(笑)一人称でやってて、目の前でボブとかが大暴れするわけですから、怖くてしょうがない(笑)

>やってみたいー!
 原田:うまいとちゃんと戦えるんですけど、弱いと浮かされて視点が上むきっぱなしになっちゃって(笑)。空しか見えないよこのゲーム!って言って、格ゲーはやめようと三年前に(笑)
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>モーフィアスはPS4とどのように繋がるんでしょう?
 吉田:PS4とHMDの間にプロセッサユニットというものがあり、PS4から映像とUSBをつなぎ、HMDに映像を送ります。

>電源はPS4とモーフィアス別になりますか?
 吉田:二つ必要になります。モーフィアスの電源はプロセッサユニットにつなぎます。

>見回しているうちにコードが邪魔になることがあると思うんですが、ワイヤレスにはなりますか?
 吉田:フルHDの映像をワイヤレスで安定して送るというのは、結構難易度が高いんです。今の技術では採用できないですね。
 原田:サマーレッスンの開発中にも、コードが体に巻きついてるやつがいました(笑)。「おー本当に部屋の中にいるー(ぐるぐる)」ってやってて女の子に呼ばれて「どこだー?(ぐるぐるぎゅう)」って(笑)

>インディーズや小規模な会社でも、モーフィアス向けにゲームが作れる環境なんでしょうか?
 吉田:はい。ユニティでオキュラス向けにゲームを作ったインディーズの方が、1日でモーフィアス対応にできたとも伺いました。

>サマーレッスン以外には何か作られてますか?
 原田:もちろんアイディアはいくつもあります。少なくともあと一本はやりたいと考えてます。(出るか出ないかを含めて)今はとてもじゃないけど言えません(笑)。今は企画を通すだけでも大変ですからね。どう商売として成り立たせるかという話にもなりますし……
 吉田:(モーフィアス自体)商品として発表してませんから、今開発されてる方は「情熱」で開発されていて。やらなければ!みたいな熱い人ばかりです。
 原田:情熱だけです!(笑)僕も社内では、評価にもならないことをやってる人間って感じです(笑)
 吉田:そういう人の中から、何年か後に「先にやってよかった!」と思える人が現れるとおもってます。

>VRでやってみたいゲームはありますか?
 吉田:私はもう、あれですよ。「P.T.」やりたいですよ。
 一同:あああああああああああああああ!
 吉田:もうね、想像しただけで怖いですよね。
 原田:誤解を恐れずにいうと、ホラーって簡単なんですよ。怖がらせるのって。だから一番喜ばせられるコンテンツなんです。(商品化したら)みんな出してくると思いますよ。怖がらせるのには向いてるデバイスなんで。
 吉田:原田さんは何かあります?やりたいゲーム。
 原田:僕は大体試しちゃってるんですけどね。逆にこれはダメだなってのも。でも先程言った格ゲーでも、面白いものが作れるかもしれないですけど、少なくとも巌流が目の前でずっと張り手を食らわせてくるとかは、まーつまらなかったですけど(笑)
 吉田:でもそれが欲しいって言ってた女性がいましたね?
 原田:いましたねえ、目の前でムキムキに暴れてほしいって方(笑)。あ、ありました実現して欲しいの。市販の360°カメラを部屋に置いてモーフィアスで繋ぐと、その部屋に行った気分になるじゃないですか。僕飲むのは好きなんですけど、飲みに行くのが面倒くさいんで(笑)、それ使って家族とか友達とか、一緒に飲んでる気分になれる。それをやりたいですね。誰か作ってくんないかな(笑)

>日本と海外で、VRに関する捉え方の違いのようなものはありますか?
 吉田:ジャーナリストの新清士さんがおっしゃってたんですが……まぁご本人も本当か嘘かわかんないけどと前置きされてましたが。欧米にとってのVRは「究極の未来の姿」なんですって。そこに一歩一歩近付いてるイメージ。日本の場合は八百万の神とかがあって、わりとその辺に神様や妖怪がいる。非現実と現実が共存しているんですって。だから欧米と違って、支配する側とされる側みたいな関係ではないんです。だから今回のサマーレッスンでもそうですけど、バーチャルアイドルなんかとも文化的に接することができるそうです。
 私もGDCで発表するまで深く考えなかったんですけど、GDCに来た日本のメディアの方の食い付きがすごかったんですね。これだぁ!みたいな。で、それから考えてみると、昔から妖怪とかバーチャルアイドルとかあるじゃないかと。日本人は未来に生きてるなあと感じました。
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 貴重な体験をありがとうございます。
 製品化の暁にはサマーレッスン同梱パックを買います!(^^)

ヴァーチャリアンは女子高生の夢を見るか(2)Project Morpheus編

2014/12/02 08:00 Category:技術、ハード
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11月某日。東京品川にあるソニーコンピュータエンターテイメント社にて行われた、ProjectMorpheusの体験会に参加した。
 こうした体験会には珍しく、撮影やツイートなどがかなりオープンになっている。 #Moepheus #サマーレッスン などのハッシュタグでツイートが追えるので、そちらも確認されることをお勧めする。

 まずは噂のサマーレッスンをプレイ。HMD本体は、こちらも極端に重さを感じない。安定感も良好。
 開始と同時に、私は部屋の中にいた。清潔感あふれる女の子の部屋だ。辺りを見回すと、あたりまえのように周りを見回せる。
「センセ」
 後ろからの声に振り向くと、ポニーテールの少女がいた。小走りに私の前に来る。おもわず首を引いた。
 少女は赤いノートを探している。本棚の上に乗っているのに気づかないらしい。そちらに視線を向けると、少女もやっとそれに気づいた。
 斜向かいに座り、ノートを音読する少女。拙い英語の発音。と、ノートをこちらに向けて、読み方を尋ねられた。首を縦に振ると、嬉しそうに微笑んだ。
 見事、である。
 艶のあるグラフィックが滑らかに動き、視線の遷移に難なく付いてくる。先述した境目のなさが、さらに没入感を増加させる。
 傍らにアテンドの女性がいなかったら俺は何やってただろうと思うくらい、その世界に浸っていた。

 続いてAKB0048とアクエリオンのコラボから生まれたデモをプレイ。
 視点はいきなり都市の遥か上空から始まり、空中ステージに急降下。なぜか敵襲に遭い、飛び出していくアイドル達を追う。視界に不釣合いな柱が現れたと思い、上を見上げると、巨大なロボットの足だった。
 そうか、モニターというフレームが無いから、その大きさをプレイヤーに実感させられるんだと感心した。
 あれよあれよと言う間に敵を倒す。四方八方で何かしら動きがあるので、向きを変える甲斐もあるというもの。わずかな時間だったが存分に堪能できた。

 別室では、サマーレッスンを開発したバンダイナムコゲームズの原田勝弘氏と、SCEワールドワイドスタジオ会長の吉田修平氏が控え、来場者からの質問に答えていた。
 その内容は明日まとめてお届けしたい。
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 短い間にそれぞれのVRデバイスに触れたわけだが、率直な感想は、やはりVRはゲームにとって最高のデバイスであることは、間違いないということだ。
 そして視覚情報というものは、簡単に人間の身体を支配してしまうことも実感できた。
 ジェットコースターでは勝手に体を傾け、小屋に歩み寄ったときは一瞬で体が硬直し、少女が肩に触れてきたときは、肩に何も感じないことに違和感を覚えたほどだ。
 3DCGの登場と、ほぼ時同じくして生まれたVR。ハードウェアの進化と開発環境の簡素化が進んだ現代、スマホに続くゲームのオーソドックスデバイスになれるか。夢の神のみぞ知る。

ヴァーチャリアンは女子高生の夢を見るか(1)Oculis rift編

2014/12/01 08:00 Category:技術、ハード
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リシャ語で「形作るもの」を意味する名を持つ神モルペウス(モーフィアス)は、芥子の花に囲まれた黒檀のベッドで眠り、人間の夢や空想に形を与える力を持つという。
 芥子から生成され、痛みを夢のように取り去る薬物「モルヒネ」は、彼の名と伝承に由来する。
 毎度回りくどい書き出しで恐縮だが、技術者たちがこの夢を形作るのにも、相当な紆余曲折があっただろう。一度ゲームに惹かれた者なら、一度は夢見るゲームの究極形態。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)によるバーチャルリアリティ(VR)が、いよいよ手の届くところまでやって来たようだ。
 現在その双璧を成すのが、Oculus rift(オキュラス)とProject Morpheus(モーフィアス)だろう。
 幸いなことに、その両方を近い期間で試遊することができた。それぞれの特徴と感触を、出来うる限り書き記したいと思う。

 このブログではおなじみであろう、代々木ゲームルームに、オキュラスが持ち込まれた。
 個人でこれを購入した人が、わざわざ持ってきてくれたという。ありがたいことである。
 オキュラスは大きく分けて三つのパーツで構成される。頭にかぶるHMD。電源を供給するアダプター。HMDの動きをトラッキングするカメラが付属する。
 HMD本体の大きさは、少し大きめの弁当箱ほど。重さもその中に、ごはんをおかずを入れたほどだろうか。軽っ!と驚くことはないが、いきなりその重量にへこたれることもない。
 肉眼では見えないのだが、HMDの外側に赤外線を発する発光体が仕込まれており、この位置をカメラで読み取り、モーションに変換する仕組みらしい。後ろを向いたときのことを考えると、HMDにもジャイロセンサーが入っているのだろうか?
 PCとの接続は、HMD用の映像出力とUSB、カメラ用のUSBにそれぞれ接続する。
 PC側でオキュラスはサブモニタとして認識され、専用のソフトが左右の目にあわせた映像にわけ、HMDの魚眼レンズを通して見た際に普通に見えるよう、映像に逆補正をかける。
 主な仕組みはこんなところだ。現物とウィキペディアを見ただけなので過不足があるかもしれないが、委細は各自お調べ願いたい。
無題紫色の点が赤外線。肉眼では見えません。

 まずはジェットコースターのデモソフトをプレイした。
 いきなり目の前に灰色の壁が現れた。どうやら自分は前から二番目の席にいるらしく、壁に見えたのは前の座席の背もたれらしい。ここは最前列にすべきじゃないのか?と疑問を持ちつつスタート。
 車体が上がり下がり周りうねり、視界全部がダイナミックに変化する。自分でも意識しない程度の頭の動きも、しっかりトラッキングし、ラグを感じることなく反映させている。横を見れば隣の人がいて、上を見れば空になったり地面になったりする。
 気がつくと、体が自然に画面に合わせて傾いていた。いや、何かを避けたりしたわけではない。Gがかかっているであろう方向に傾かないと、なんとなく気持ち悪かったのだ。体が視覚映像に操られてしまったようだ。これが没入感というやつか。
 同じものをTVモニタでプレイしても、きっとつまらないだろう。実際こういうゲームは過去多くあった。では具体的には、何がここまで没入感をもたらすのか?

 その答えは、案外早くわかった。その次にホラーゲームのデモをプレイした時だった。
 PC向けFPSのように、キーボードで前後左右に進み、視線がHMDに連動するものだった。
 そこは真夜中の山道。か細い街灯が辛うじて道を照らし、なお弱々しい懐中電灯が、視線に合わせて行先を照らす。進むとすぐ闇に埋もれ、あてもなく向こうに見える街灯を目指す。
 上を見上げると、満天の星空。なぜか不安を煽る美しさだった。
 と、行先に小屋が見えた。4畳あるかないかの小さな小屋で、入り口にドアすらなく、壁も屋根も板張りだが、中の明かりが遠慮なく漏れるほどボロボロだった。
 ゲーム的お約束として、小屋に入ってみようとした。入り口に近づくと、中に人がいた。少女のようだ。黒髪の少女が、こちらに背を向け、向こうの壁に向かって立っている。
 嫌な予感がしたが、意を決して中に入ろうとする。その瞬間、ふっ。と小屋の明かりと少女が消えた。
 視界はおろか周囲を突然闇に覆われる。虚を突かれるとは正に是。思わず後ずさった。
 何があったかとあたりを見回す。一瞬視界の端で何かが光って消えた。呼吸が速くなる。また何かが光った。さっきより近くだ。
 小屋どころではない、あたりを彷徨うように周囲を見回す。何がいる?何が来る??今聞こえているのは誰の呼吸だ????誰がそこにいるんだ????????

 私はその時、ほぼ完璧に仮想世界に囚われたのだ。
 念のため明記するが、グラフィックの精度は、昨今のゲームにあっては大人しい部類であったし、極端にグロテスクな表現や大げさな演出もなかった。
 だがあの瞬間、少女と明かりが一瞬で消えたあの時、私は今まで感じたことのない恐怖を味わったのだ。何がそうさせたのか?
 思うに、モニタとコントローラが、ゲームに慣れた人間にとって、知らないうちに緩衝材のような役割を果たしていたのではないだろうか?
 例えばモニタ。ゲームは当然モニタに表示され、その外側には1ミリ足りとも干渉できない。そして我々は、ちょっとでも首を動かせば、モニタに映る映像と目の前にある現実との差異を感じることができる。
 そしてコントローラは、何かをしようと思った時、その行動を自分の中で指の動きに変換する必要がある。こうした作用が現実にはない行動として、プレイヤーとゲームをうまく切り離しているのだと思う。
 しかしオキュラスは、視線を動かそうと後ろを向こうと、その動きに合わせて映像が変遷し、現実との切れ目が皆無である。加えて今までは『右を向きたい→コントローラを操作→右を向く』という手順であった視点操作が『右を向きたい→右を向く』となり、本当の意味で直感的な操作になっている。そう、視覚と操作における緩衝材が、ぎりぎりまで取り払われているのだ。
 視界の全てを取り囲む映像と、プレイヤーの意識しない操作さえ拾ってしまうインターフェイス。感覚的な逃げ場がなくなった時、ゲームはゲームを超えて迫ってくるのである。
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 さて、もう一方のVRの尖兵、モーフィアスはどうだろう?
 長くなったので次回お話しする。

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