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ゲーム論説ブログ

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a-360インタビュー#4 松山洋(7)

2012/02/29 09:00 Category:インタビュー
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A:ちらっとゲームのお話をお聞きしたいんですが、もうすぐ『アスラズラース』と『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストームジェネレーション』が発売になります。とくにアスラズラースは僕も買うつもりでいますが、開発時に詰め込みたかったものは詰め込めましたか?

松:そりゃもう毎回そうですね。いつもやり切ります。

A:『アスラズラース』開発の壁ってありました?

松:壁は毎日でしたね。『アスラズラース』は特に新しいエンジン(アンリアルエンジン)、新しいチーム(『ナルティメット』シリーズでも『.hack』シリーズでもない)新しいパートナー(カプコン)という新しいもの尽くしの中で新しいタイトルを作るという、すべてが挑戦だったんですよ。毎日が壁の連続でした。その壁を一個一個怒りで叩き壊して完成しました(笑)
 うちはいつも目標到達しないと出さないんですけど、今回もすべてやり切って、買って遊んでくれたお客様を間違いなく満足させて幸せにするゲームができたと思ってます。
 言いたいことが言えたという気がします。

A:気になってるんですが、15周年記念作というのがありますね?

松:あー、そうですね。まあ15周年のタイミングで発表させてもらいましたけどー……そうですねぇ………20周年くらいには出したいなァと(笑)
 うちってそうなんですよ。いろんな企画を作っても、勝算がもてないと進めないんです。見切り発車はしません。いろいろ準備は進めてますが。

A:さっきもちらっと出たんですが、夢はありますか?

松:一生この仕事を続けることですね。できなくなるかもしれないんで。失敗したら終わりなんですよ。

A:尊敬するクリエータさんはいますか?

松:んんー同業者で尊敬してる人はーー(笑)。あ、意識してる人はいます。イシイジロウさん。

A:おおー。

松:僕はゲームで泣いたことがなかったんですけど、唯一涙を流したのが『3年B組金八先生・伝説の教壇に立て』なんですね。生まれて初めてでした。
 これずっと謎だったんですよ。マンガ読んで涙流せるし、映画見ても流せるんですけど、ゲームだと泣けないんです。ゲームって他のメディアより感情移入度が高いはずなんですよ。自分で操作してるから。なのに泣けないのはなんだろうってずっと思ってたんです。
 で、いつか泣けるゲームを作ろうって思ってたんですけど、消費者としてまず『金八先生』で涙流して、エンドロールに出た『監督 イシイジロウ』っていう名前を俺は一生忘れないと思ったんです。
 なのでこの人の次回作は無条件で買おうと思ったら、出ないんですよ4年間(笑)。でもいつか出ると思って待ってたら、4年ぶりに『428~封鎖された渋谷で~』というタイトルが出て。これもホンットに面白かったんで遊んでよかったと思ったんですが、それでも僕にとっては『3年B組金八先生』のほうが上ですね。

A:泣けた謎は解けましたか?

松:やっぱり物語ですね。それとシステム。そこも含めて正しいんですよ。アドベンチャーなんだけど物語性があってシステムがそこに絡んでて…だから「粋」なんですよ。これはゲームにしか与えられないエンターテインメントだぁと。脱帽でしたね。なので次回作もすごく楽しみです。

A:スルーしてたなあ金八先生。

松:死ぬ前に絶対遊んだほうが良いですよ。人生損します。すべてのお客さんに言いたいですね。

A:おおおー!

松:ちなみに自分の作品でそれを実現したのが『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム2』です。自分で作って自分でプレーして、泣けたのは初めてでしたね。

A:最後に、TVの前のよい子のサイバーコネクトツーファンにメッセージをお願いします。

松:あっはっは! はい、今年は年始から劇場用3Dアニメーションの『ドットハック セカイの向こうに』とか、2月はまさかの『アスラズ ラース』と『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストームジェネレーション』の同日発売とか(笑)、ファンの皆さんにはお財布に優しくないスケジュールではあるんですけど。今年は実はまだあります。
 近いうちに又新作を発表して発売できるものが、いくつか、あるんで。

A:お。今年中にいい話が聞けると?

松:はい。なのでまずは、年始からの3タイトルを楽しんでいただいて、そこから先の新しいサイバーコネクトツー…いろいろ今までやらなかった新しい挑戦というのを、日々やってますんで、そういう会社なんで、退屈はさせないと。
 楽しみにしていて下さい!
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a-360インタビュー#4 松山洋(6)

2012/02/28 09:00 Category:インタビュー
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A:一回やってみたかった事がありまして。僕が好きな『アクターズスタジオインタビュー』という番組で、10の質問っていうコーナーがあるんです。司会者がゲストの役者さんに投げかける質問に、連想ゲームのようにぱっと答えていくコーナーがあるんです。これ是非やってみたいんでお願いします。

松:あぁはい

A:山!

松:か、川?

A:こんな感じで。

松:あぁそういうことか(笑)

A:お気に入りの言葉。

松:抜けないトンネルはない。

A:嫌いな言葉。

松:絶望ですね。

A:あなたを一番昂ぶらせてくれるもの。

松:少年ジャンプです。

A:あなたを一番めげさせるもの。

松:ジャンプの出ない週です(笑)。年末年始です。ゴールデンウィークです。お盆です。大嫌いです(笑)

A:「あ今週合併号だよー」ですねわかります(笑)。次、お気に入りの悪態。

松:フランス語のピターン。

A:意味は各自調べていただきましょう(笑)。好きな音。

松:ズキュウウウウウン

A:(笑) 嫌いな音。

松:無音状態かな。

A:今やってみたいほかの仕事。

松:ない…ですね。やりたいことは全部やってると思います。

A:やりたくない仕事。

松:『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズのようなゲームを作ってくれと言われること。

A:ほー…ここもあえて突っ込まないでおきます。
 最後、もし天国があったとして、その門の前にあなたがたどり着いたとき、神様に何と言って欲しい?

松:あー……………………今頭の中に浮かんだ事をそのまま言いますけど……上半身裸で肩に星がついて、己を抱くようにして立ってるディオ・ブランドーが……

A:(爆笑)

松:「人は安心するために生きているんだ」っていうような事を、言ってました今(笑)。だって天国って言うからぁ!(笑)やっぱり天国ってキーワードは、ディオの定義なんですよ。

A:なるほどー。えーこの質問はあまり掘り下げないのが面白みなので、後は読者の皆様に委ねたいと思います。

a-360インタビュー#4 松山洋(5)

2012/02/27 09:00 Category:インタビュー
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A:福岡に今も拘る理由は?

松:福岡よりいい場所があれば他に移っても構わないんですが、福岡でなければいけないとは全く思っていません。福岡が有利だから福岡にいるんです。
 立地、環境、物価もそうですし、最初に言ったとおり何でも揃う。東京と同じ給料で小遣いが増える。出るお金減りますから。
 あと通勤時間も短く住む。僕会社まで徒歩五分ですよ

A:っへー!

松:自転車通勤のスタッフも多いです。東京だと通勤に往復二時間とかかかるのはザラですよね。その分うちのスタッフは仕事できるし寝れるし本読めるしアニメも見れる。通勤時間は無駄だって私は思っています。
 福岡はゲーム開発するなら日本一有利ですよ。行政が支援してくれるし。まぁ我々がGFF(GAME FACTORY'S FRIENDSHIPの略称。九州・福岡のゲームソフト制作関連会社などによる任意団体)なんかでそうしてるのもあるんですけど。

A:今までで一番嬉しかったことは?

松:嬉しいのはいつも、ですね。弊社が毎年作り上げていく作品に、お客様が惚れ込んで購入されて、そして遊んでいただけているっていうのが、極上の幸せですね。
 これは作り手になってみないとわからないと思うんですけど、自分が生まれてきた意味を知るっていうか…テイルズっぽいですけど(笑)。
 結局人って、誰かに喜ばれて人に影響を与えて生きているんだと思うんですよ。それが一番の幸せだと思うんです。
 なので今、この仕事をやれているっていうのが一番の幸せだと思いますね。同時に私自身の夢っていうのが、この仕事を一生涯続けることです。

A:…すげーなぁ…(笑)。 じゃあ逆に一番怒ったことは?

松:怒ったことぉぉ?(笑)あんまり怒らないからなぁ~。

A:そうなんですか?なんかこう、主張が強い人は反作用も強いみたいなイメージがあったんですが。

松:あーなるほど。当然ね?普段から理不尽なこととかありますけど、それ以上に楽しいことが多いからやっていけるわけですし。でないとバランスとれないです。

A:クリエーターになるためのお話は伺ったんですが、クリエータであり続けるために必要なものって何でしょう?

松:モノを作り続けることが一番の方法だと思います。さっきの話と重なりますけど…まあ書けるかわかりませんけど(笑)、たとえばDさんって知ってます?

A:もちろん。大好きでしたあの方のゲーム。

松:あの方私の中では、もうクリエーターじゃないんですよ。あの方十年前に降りてるじゃないですか?クリエータってサッカー選手みたいなものだと思ってるんですよ。

A:一日練習休むと取り戻すのに三日かかるといいますね?

松:そうです。なので一度でもステージ降りたら、その人はクリエーターじゃないです。グラフィックや音楽の人が、他の仕事をしてみたいんだと言ってやめても、その人はモノづくりはしていても、もうゲームのクリエーターではない。
 ゲームクリエータていうのは、常に戦い続ける人だと思ってるんで。この進化のスピードを肌で感じながら戦ったり負けたりを繰り返しているのがクリエーターだと思ってます。

A:カムバックができる世界じゃない?

松:はい。

A:松山さんが続けてこられたのは、ゲームが好きだからだと思いますか?

松:僕の場合はゲームが一番じゃないところが功を奏してるのかなと思いますね。
 一番好きなものはマンガなんです。同じくらいアニメも映画も好き、作品と呼べるものは何でも好きなんです。ゲームに固執してないんですよ。ゲームで表現できることは一杯あるんで、マンガ的表現も使うしアニメ的表現も使う。だからサイバーコネクトツーのゲームは、他と差別化されてると思うんです。

a-360インタビュー#4 松山洋(4)

2012/02/26 09:00 Category:インタビュー
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A:そんなサイバーコネクトに大事件が発生します…聞いちゃっていいのかなぁ(笑)

松:まぁいいんじゃないですか?要は前の社長…私を誘った同級生が、ある日出ていってしまったんです。

A:突然?

松:突然。経緯をぶっちゃけると、社長が当時、iモードのアプリを開発したいと言ったんです。サイバーコネクトで。
 その時は『サイレントボマー』が出て、『.hack』を立ち上げようとしてるときだったんですけど、僕は過去ニ作品の結果に納得してなかったんです。それっていうのは売り上げの話じゃなく、開発陣は凄い実力を持っているメンバーなんですけど、力が発揮できてないんじゃないかと思ったんです。正しい力の出し方ができてないと。マネジメントやリーダーシップといったものが足りてないんじゃないかと考えたんです。
 なので次のプロジェクトでは、やり方を変えてでも成功できるものを作ろうと、思っている最中に別の事やろうと言われたんです。

A:あー…

松:いや違うだろと。全社一丸となって次進もうって時に、力を分散するようなことしてどうするんだと。iアプリってデザイナーとプログラマの二人一組で、半年で10本作るっていう世界だったんですけど、今やるべきことはそうじゃないんじゃないかって話をしたんですけど、いやどうしてもやりたいんだと言って、出て行っちゃったんですよ。

A:……。

松:で一回そこでサイバーコネクトって会社はなくなるんですけど、その時残ったメンバーと一回集まって話をしたんです。
 全員能力はあるんで、再就職等も問題はないだろうと思っていたんですが、僕はできれば続けたい。『.hack』を作りたい。俺達はまだバンダイに恩を返せてないから、『.hack』でちゃんと結果を出そう。そのために生まれ変わらなきゃならないから、俺に社長やらせてくれ。と言ったんです。
 それで創業メンバーが出し合った資本金を、全部僕が買い取って、ワンマンでいくと決めたんです。みんなで集まってみんなで決めて、それで失敗したら仕方ないよねーじゃ駄目だと。サークルじゃないんだから、誰かが責任取らないと。民主主義はやめようとしたんです。

A:悪しき合議制より良き独裁制?

松:そうです。シンプルじゃないと勝てないんです。
 あとこれからのゲームって…映画とかそうですけど、配給会社で見る映画を決める人はいないじゃないですか?おーこれ東宝の映画かぁ面白そうだーっていないでしょ?

A:いませんね(笑)。せめて監督くらいで選びます。

松:監督キャスト、あとジャンルね。だからゲームも、映画を超えるくらいのでかいエンターテインメントになるという予感は自分の中であったし、ゲームもお話作ってるのってデベロッパーじゃないですか。だからいつかお客様が「おーこのゲーム面白そうだなー」って箱を手に取った次に、「で、どこが作ったの?」って箱の裏を見る時代が来ると考えたんです。
 そうなったときに、「あ、サイバーコネクトだったら安心だ」と言ってもらえる会社にしないと勝てない。そういう会社にするから、してみせるから、絶対に成功させるから俺にやらせてくれ。ついてこれない奴はよそでやってもらって構わないと話しをしたら、全員残ってくれたんです。

A:いいぃっすねぇぇぇ!

松:そこから会社を徹底的に変えました。徹夜禁止。朝9時出社。遅刻厳禁…もう強権発動ですね。今もそうしてます。
 スタッフの何人かは、朝9時にこなきゃならない理由がわからない。10時じゃだめなんですか?そこから8時間働いたらいいじゃないかと。

A:まーわからんではないですね(笑)

松:その時答えたのが、わかったじゃあ8時にしよう。理由はない。10時にする理由もないだろう?どーする?と言ったら、9時でいいですと(笑)

A:(笑) そりゃそーか。理由がないっていうのは理由になってないと。

松:そうです。(笑)

A:他にも御社にはユニークな点が多いと思うんですが、私が特に興味を持ったのが、人事観といいますか…採用方法育成方法がとても大々的で独特だなあと思ったんです。

松:最近はインターンシップなんかもされる会社は増えましたね。うちはサイバーコネクトツーになってからやってます。当然ながらサイバーコネクトという会社は誰も知らないし、ゲーム業界って何をどう勉強すれば良いのかという事を、正確に誰も教えられてないでしょう?

A:そうですねー、専門行けばいいかくらいにしかわかりません。

松:それは幻想ですね。昔ゲーム会社に勤めてた人が先生をしているというのもありますが、それに価値を見出すのは無理があると思います。

A:……。

松:ゲーム業界って毎年すっごいスピードで進化してるんです。現場から一度離れた人のセオリーは通用しないんですよ。
 正にいまゲーム業界で働いている人間が教えるなら意味があります。最新のことも、何を身につけるべきかというのも教えられる。だからといってうちは学校はやってないんで、待ってても来ないなら自分で育てようと。本当の事を教えるため、最前線を見せて、現場の人間が直接教えます。

A:成果は現れてますか?理想の人物が育ったと

松:ええ、もちろん。弊社の新卒採用はインターンシップ出身者が多いです。理想の新人じゃないと採りません。弊社はハードル高いですし…そもそも技術は二番目です。

A:一番は?

松:あの…(右手親指で心臓を指して)ハートです。

A:……好きこそものの上手なれ?

松:そういう言い方になると思います。一番わかりやすいのがー…『グラップラー刃牙』で、花山薫とユリーが闘ったときがあって…

A:知らないなあそれは(笑)

松:あそうですか?モンゴルのボクサーなんですけど、彼が言う「決して心は折れない」っていうのが一番大事なんですよ。心が折れない奴を、弊社は採用してます。

A:何かあるんですか?それを測る方法が

松:あります。何を犠牲にしてでも好きなものが、その人にあるかどうかですね。
 すごい残酷なんですよ「好き」って。恋人よりも親よりも「好き」なんです。それがある奴は信用できます。自分が「好き」であり続ける事をあきらめなかった「才能」なんですよ、それは。
 みんな「好き」を卒業するんですよ。昔はジャンプ読んでたとか。アニメ見てたとかゲームめっちゃやってたとか。でもそれは「好き」ではない。昔「好き」であった人です。今も「好き」でい続けているかどうかです。
 だから弊社は別に、ゲームが好きとかじゃなくったって全然良いんですよ。

A:絵が好きとかお話は好きでも?

松:極端な話、ジーパンが好きとかでも入社できます。好きは絶対裏切らないですもん。
 みんな中途半端なんですよ。そこそこ好きとか、昔見てたとか。そういう人は駄目ですね。仕事も一緒で全部中途半端になっちゃう。

a-360インタビュー#4 松山洋(3)

2012/02/25 09:00 Category:インタビュー
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A:そして大学を出て就職されたのが、コンクリート会社ですか?いきなりゲーム会社じゃなくて。

松:そうです。正式にはコンクリート二次製品と言って…例えば歩道と車道の間にある、一段段差になってる部分の石。業界では縁石(フチイシ)って言うんですが、ああいうのが二次製品。
 大学出る前は、やっぱり子供の頃からの夢というか、何となしに「モノづくり」を選ぶだろうなと。ただそれがマンガ屋なのか出版社なのかアニメか映画かなんなのかっていうのはわからない。けど何かしらモノをつくる会社に入って、いずれ独立するんだろうなーと思ってました。
 で、九産大の漫研って100人以上部員がいるんですよ。

A:会社じゃないですか!(笑)

松:そうなんですよ。で在学中に漫画家やアニメ会社にデビュー決める人とかもいて、そうすると東京に出てきなさいって言われるんです。当時はネットとかも普及してませんし。で、大学中退して東京に行くんですね。先輩にも同期にもそういう人いっぱいいました。出発前に送別会盛大に開いて「負けんなよーがんばれよー」と言って送り出したんですけど…

A:けど?

松:一年しないうちに帰ってくるんですよ。長くて三年。

A:ええー!?

松:なんやそれと(笑)。あんだけ盛大に送り出したのにって。それが一人二人なら、まぁそういうこともあるわと思うんですが、結構な人数が帰ってくるんですよ。でみんな「あの業界はおかしい」「過酷過ぎて死ぬ」と口々に言うわけですよ。
 でもそんな話を聞いてる中で僕は「あれ?」っと思うんです。自分ら社会経験ないやん?なにと比較して普通じゃないって言ってんの?と。

A:その経験したことが正解かもしれないじゃないかと

松:そうですそうです。僕自身もいろんなバイトやってたんですよ。コンビニとか雑誌編集とか10000トンタンカーの製造とか(笑)。そういうのもあって、どんな仕事やってもキツイのは当たり前だろって思いつつも、「あこれって…自分が好きってだけでその業界に素直に行っちゃうと、同じ事になりかねんなぁ」と思ったんです。
 あと、自分自身も世の中知らないよな。成功するためには分別ある大人にならないと。そのためにはまず世の中を勉強できる会社で仕事をしたいな。と考えまして。その上でできれば上場してる会社で、あと、どうにもならない世の中の壁っていう物に直面できる仕事が良いなと思ったんです。

A:ほー!

松:要するに、どこまでが個人の努力でどうにかできて、どこまでが会社の努力でなんとかできて、努力しても無駄な壁ってどこにあるかっていうのを知りたかったんです。
 好きなもので言えば、地元のデパートで販売って言うのもいいとは思ったんですが、やっぱりものづくりがしたいと。でコンクリ会社って公園とかも作るんですよ。公園作りもものづくりだよなって(笑)。
 公園って公共工事なんで、国が発注するんですね?で間に設計コンサルタントがいて、それをいわゆるゼネコンが入札する。サラリーマン金太郎の世界ですけど。そういった人たちを相手に売り込みを行うんですけど、これほどわかりやすい壁はないなと。国やゼネコン相手にすれば、きっと世の中の壁が見えると思いました。
 それで福岡で一年、大阪で二年ちょっと、大阪ドーム作ったりして勤めるんですが。

A:すげ(笑)

松:で、大阪に行った頃に、漫研時代の同級生と電話で話すようになったんですね、テレホタイムに(笑)。
 彼は東京でアミューズメント系のゲーム会社に勤めてたんですが、そうやって違う業界の話を聞くのが面白かったんですよ。で僕は僕でコンクリ業界の話をするわけですよ。そういうのがお互い凄い新鮮で面白かったんです。
 でそんな話しをしてたあるとき、彼から「独立しようと思ってるんだけど、手伝ってくれないか?」といわれたんです。ゲームかぁゲーム業界は考えてなかったなぁと。マンガもアニメも詳しかったんですけど、ゲーム業界のことはさっぱりわからない。人一倍遊んではいましたけどね。
 だけど彼も軽い気持ちで誘ったわけじゃないだろうから、ちょっと考えさせてくれと言って、ゲーム業界に関連する書籍を、図書館行ったり立ち読みしつつ一部買ったり(笑)して、歴史から学ぼうとしたんです。
 そもそもファミコン以前てどうなってんだろうと思ってみたら、思いの外この業界若いなというのを知ったんです。ファミコンが出てまだ15年しか経ってないのに、その年のジャンプのトップに『FFVIIがPSで発売!』って言うのを見て、あもうこれからはPSなんだと、でもう一個セガサターンってゲームがあるんだっていうくらいの知識しかなかったんです。
 でゲームも『バイオハザード』みたいなのが出て、「何じゃこりゃ!?ポリゴンって何!?2Dと3Dって別次元じゃないか!」と驚いて、でもってゲームセンターいくと『バーチャファイター』とか『鉄拳』が出た頃で、それを目の当たりにした時には、「画面の中に人がいる!」と思ったんです。ああもうこの世界なのかと。
 このスピードで進化してて、まだ到達点ってまだまだないし、今から参入してもやりようはある。でもってゲームなら自分がやりたかったこと、マンガとかアニメとか映画とか、全部できるなと思ったんです。総合エンタテイメントだと。だったら一生かけてこの仕事できると思って、一緒にやろうと返事をしたんです。

A:へええええ

松:最初は東京に会社を出そうっていう案もあったんです。ゲーム会社って東京に集まってるじゃないですか。でも任天堂は京都だし、カプコンは大阪にある。なんで東京に集まるんだろうと思ったんです。何か秘密があるなと思って調べたんです。そしたらなかったんです(笑)。みんななぜか東京にいたんです。
 ただメーカーが東京にいる理由はわかるんですよ。TVのキー局も広告代理店も雑誌社も東京にある。営業面を考えればわかるんです。ただ開発会社がなんで東京にいなきゃいけないんだろうというのがわからない。
 当時インターネットも普及し始めて、地方でもデータのやり取りだってできる。それに東京で独立すると、その他大勢に埋もれてしまうんじゃないかと思ったんです。
 要は勝つための方程式っていうのは、運任せだと絶対に勝てない。特別な環境で有利に勝算を持って仕事しないと絶対に勝てないんです。不思議の勝ちはないんですよ。
 なので色々考えて、僕らの地元が福岡ということもあり、福岡のほうが環境も良いし物価も安い。僕らは開発をやるんだから、福岡で作って東京で売れば良いじゃないかと。勝算を持って福岡でやろうと言って、福岡で事務所を借りてはじめたのが16年前です。

A:松山さんのお仕事が、営業兼デザイナーだったと

松:あっは、よう調べてますね(笑)。

A:最初に作ったのがテイルコンチェルト。

松:僕入れて10人の会社だったんですけど、途中で二人増えて一年半かけて作りました。

A:言い方失礼かも知れませんが、できたての会社にぽんとお仕事って入ってくるものなんですか?

松:当時は小さな開発会社がいっぱいできてたんですよ。ドコソコでナニナニを作ってた人が独立してーとか。その中の一社だったと思うんですね。

A:ああそうかぁ。みなさん経験者ですもんね。

松:その実績と企画を書いて何社かに送って、七社くらいから返答があって、その中からバンダイさん(現・バンダイナムコゲームス)とお仕事をさせて頂くことになりました。

A:営業やりつつ、グラフィックの八割を作られたとか?

松:だって人数いなかったんだもん(笑)。まあ営業っていっても開発の営業なんで、やることはそんなにないんですよ。
 で、僕以外全員開発畑の人間だったんですけど、プレゼンテーションとか見積書を書くとか、そういうことをしたことがないんです、みんな。営業メールの一行目に「お疲れ様です」って書いちゃったりするんですよ、宛名もなしに(笑)。これは会社としての信頼に関わるから、ここは僕がやったんです。
 やっぱり開発者って、作るのは上手いけど、思っている事を伝えるのがすごく下手なんです。今も思いますけど。ゲーム制作はコミュニケーションなのにね。なのでうちではその訓練を日々やらせてます。
 で、バンダイにプレゼンしたり提出する見積もり書いたり進捗会議に出たりするのも私。余った時間はボーッとするわけにも行かないので、元々絵心はありましたし、じゃ僕背景描きますと言って、もうパソコンの知識から当時の先輩(今は部下)から教わりました。
 PCの使い方、CGのイロハ、ポリゴンとは何ぞや、あと業界にいた彼らから見たゲーム業界のこととかを聞きながら、研修みたいなことをしました。

A:はじめてゲームの絵を描いたときはどうでした?

松:やっぱり新鮮でしたね。モニタの中で粘土をこねるような印象があって。ただ、作っては作り直しを繰り返してました。
 許せないんですよ、自分で。こう描いた絵を見て、週刊ファミ通とかに載ってる他商品と比べるんですよ。すると「俺のはまだ商品じゃない」ってそれ捨てて。
 しかも僕以外はみんな熟練なんですよ。当時グラフィックリーダーをやったのが、今『Solatorobo それからCODAへ』のディレクターを勤めた磯部孝幸なんですが、もう抜群に上手いんですよ。絵もドットもうまいしポリゴン造形もうまい。そんな彼が作ったものと比べても、自分の絵を同じ商品に入れられないと思ったんです。人の二倍努力しても無駄なんだって。

A:周りは三倍で進んでいくのに?

松:だから三倍やらなきゃ駄目なんだと。なので一作目の『テイルコンチェルト』と二作目の『サイレントボマー』の時に、会社に泊まりこみ大作戦を敢行しました。

A:今御社で禁止してると噂の!?(笑)

松:私の実体験で禁止してます(笑)。その時は、自分自身下からスタートしてるんで、足手まといにはなりたくないし、できればエースになりたいし、とにかく上手くなりたかったんです。空気で膨らませるビーチマットと毛布で寝て、給湯室でお風呂に入って…

A:風呂ちゃいますよねそれ?!(笑)

松:まあ風呂じゃないんですけどね(笑)。全然寝なくても平気なくらいだったんですけど、それ以上にこう…自分でわかるんですよね?上手くなっていってるのが。段々努力を積み重ねると見えてくるんですよ、いろんなものが。次はもっと上手くできるという手応えとか。で、いつしか背景全般を任せてもらえるようになっていました。
 その時から思っていたのが…マンガとかでもそうなんですけど。よく子供なんかでもマンガを描くと、すぐキャラクターを書くでしょ?

A:あー…わかりますハイ。

松:ゲームでもそうなんですよ。学生さんもクリエータ目指す人って、すぐキャラクター作りたがるんですけど、ゲームやマンガのクォリティって、実は情景描写がすべてなんですよ。だから、ゲームソフトのクォリティや印象を決めるのは背景なんです。

A:……。

松:画面の中でキャラが映っている領域ってわずか10%なんですよ。残りの90%は背景なんです。なので、商品力の多くを左右する決定的な部分を、自分が手がけたかったんです。
 背景美術のしょぼい現場は絶対に駄目。これはマンガでも言えて、キャラクターばっかり一生懸命描くんじゃなくて、情景描写がちゃんとなされていないマンガはマンガじゃないんですよ。キャラの位置関係などの情報の多くは、キャラよりキャラの周りが持ってる。それがあるからキャラが生きる。

A:なるほど…

松:元々マンガがすきで、マンガの文法を分析して、マンガの正体みたいな事を子供の頃から考えてて、ゲーム屋を始めるときも背景は大事だと考えて、背景デザイナーになって『テイルコンチェルト』と『サイレントボマー』の時は、レベルデザインも含めて自分でやりました。
 まーずーーっと泊まってましたね、会社に。そんな日々が4年ほど続きました。

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