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雑感・プリンスオブペルシャ 忘却の砂

2010/07/20 12:27 Category:ソフトレビュー
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PoP
クションゲームはツンデレであるべきだと思う。
 このブログをご愛読下さっているような熱心なゲームファンなら、ツンデレの説明は要らないと思うので割愛する。わからない方は、今更ここで真面目に解説するのも気恥ずかしいので、各自ぐぐってほしい。
 何が言いたいかということは、このゲームをやっていただければわかるだろう。 ユーザーフレンドリーと手応えを両立させた、何とも心地よいツンデレっぷりを垣間見ることが出来る。

 遥か遠い昔。ソロモン王国の王シャラマンには二人の息子が居た。兄の名はマリク、弟はプリンスという。
 王はマリクに、かつてソロモン王の帝国の中心であった地を治めさせていた。そしてプリンスにそこへ赴き、統治者としての何たるかを学んで来いと命ずる。
 だがプリンスが到着すると、兄マリクの宮殿は敵国の侵略を受けている最中だった。
 抵抗も空しく、敵の猛攻の前についに宮殿内にまで侵入を許してしまう。窮地に立たされたマリクは、宮殿の地下深くに封じられているというソロモンの軍勢を解き放とうとする。
 神話の存在に縋るなど馬鹿げていると止めるプリンス。だがマリクはそれも聞かず、ついに封印を解き放つ。しかし現れたのは、砂の数ほど溢れ返る魔物の軍勢だった…。

 プリンスオブペルシャといえば、往年のゲーマーには懐かしいであろう、流れるような2Dアニメーションとハードボイルドな謎解きで知られた、アクションゲームの名作である。
 舞台を3Dに移してなお、その基本は変わらない。CGが最も苦手とする、砂と水の表現に挑んだグラフィックの磨きこみっぷりなどは名刺代わり。アクションと謎解きの要素も一層磨き上げられている。
 最初にプリンスが使えるアクションは、走って飛んで壁を走るくらいのものだが(この時点で十分超人だが)、ゲームが進むにつれて様々な特殊能力が与えられる。
 時間を数秒巻き戻したり、水を固めて掴めるようにしたり、空中で敵に向かって突進できたり、過去そこにあった壁や床を再現してみたりと、インド人もびっくりの魔法を駆使して宮殿を進む。
 一見登れるわけないように見える壁も、滝を固形化する魔法と自前の脚力で易々登攀したり、なぜかお行儀良く空中でホバリングしてるハゲタカに飛び移って移動したり、もうステージ内で行けない場所はないのではと思うほど自由度が高いのだ。

 しかしここで一つ問題が起きる。なんでも出来てどこでも行けるということは、何処に行くべきか迷う可能性もあるということだ。登れそうな壁は四方を囲み、掴めそうな溝は其処彼処に開いている。
 ここで登場するのが件のツンデレシステム(今命名)である。
 例えば壁を登り縁につかまったとすると、カメラが勝手に移動し、次に飛び移るべき柱や壁をフレームに収めてくれるのだ。これで誤った方向に飛んで、無駄に命を浪費することはまずない。
 加えてステージ上にあるオブジェクトのうち、移動に使えるものを限定し、それらの容姿を同じにすることで、プレイヤーが迷うことも防いでくれているのだ。
 プレイヤーを誘導しつつ、自らの足で進むという楽しみは決して奪わない、付かず離れずの関係でいてくれる設計である。

 強いて難点を挙げるとすれば、ゲーム中の声が聞き取りづらいことや、落とし穴トラップの作動が若干突飛すぎて、時間魔法を浪費しすぎること。加えてその他のトラップを含めたステージ進行が(徹頭徹尾宮殿内部でのプレーであるから仕方ないかもしれないが)ワンパターンであること。ラスト目前あたりから要求されるアクションの難度が、思い出したように跳ね上がること。さらにジャンプボタンの扱いがやや特殊で、誤操作を招きやすいことくらいだろうか。
 どれも軽快なアクションを簡単にできるよう工夫したゆえの副作用かもしれないが、慣れて赦すまでにかかる時間が、このゲームを楽しめるか否かに繋がっているようだ。

 重力や摩擦を無視したようなアクションと、自分以外誰が通るんだと突っ込みたくなるステージデザイン。リアルでありながらゲームらしい設計が施されているあたりも、ツンデレ的要素だろうか?
 HALOのようにみんなでワイワイ楽しんだり、誰かと競い合うタイプのものではないが、スーパー●リオ以来連綿と受け継がれてきた、アクションゲームの普遍的楽しみを思い出させてくれる良作である。

プリンス・オブ・ペルシャ 忘却の砂プリンス・オブ・ペルシャ 忘却の砂
(2010/06/24)
Xbox 360

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雑感・エロマンガ島の三人

2010/07/11 00:02 Category:日記、雑記
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回は趣向を変えて、一冊の本をご紹介したい。

 ご承知の通り、私は先日バカタール加藤こと加藤克明氏にインタビューを行い、その内容を掲載した。
 そして今、大きく後悔していることがある。即ち、この本を読んでからインタビューを行うべきであったと。

 本書は、バカタール加藤氏の体験を基に、芥川賞作家の長嶋有氏が書き下ろしたフィクションである。ファミ通読者には長嶋有よりブルボン小林の筆名でおなじみだろう。
 加藤氏が週刊ファミ通編集部に在籍していた時、ひょんなことから加藤氏を含めた三名がエロマンガ島に行くことになった。帰国した後しばらくして、加藤氏が長嶋氏と飲んだ帰りのタクシーの中で、その思い出を滔々と語って聞かせた。それを聞いた長嶋氏がその話に心底惚れ込み、あれよあれよという間に小説になって姿を現したのだそう。
 初出はファミ通の姉妹誌「オトナファミ」であった。当時私もその雑誌を買っていたのだが、帰りの電車の中で読んでいる途中で、降りる駅になったか何かで読破した記憶がない。全くお恥ずかしい限りである。

 オーストラリアの北東に位置する島国、バヌアツ共和国。その島の一つに、佐藤ら三人の日本人が降り立った。目的は、ここでエロマンガを読むため…。
 佐藤が勤めるゲーム誌で「エロマンガ島に行ってエロマンガを読もう」という、神々しいほど馬鹿馬鹿しい企画が持ち上がり、驚くべき事にこれが通ってしまう。
 かくして佐藤と後輩の久保田、そして発起人であるゲームメーカーの井上…の代理として急遽行くことになった日置の三名が、南太平洋に浮かぶ地球の田舎にやってきた。
 歴史的建造物もなければ、胸すくアトラクションもない。観光地と呼ぶにはあまりに寂しいこの島で、日本からやってきた三人のおっさんは、そんなものとは比べ物にならないほど、大きな宝物を見つけてしまう…。

 まず何より感銘したのが、ノンフィクションをここまで美しくフィクションに作り変える業があったのかということだった。
 私は作家などを名乗れる身の上ではないが、事実は小説より奇なりというバイロンの至言を痛感している作家は少なくないと思う。ならばいっそ事実を小説の基にしてしまえと、実際に起きた事象をベースにしたフィクションが作られることも少なくない。
 しかし、素人考えではあるが、そういった作品はむしろリスキーな気がしてしまう。小説よりも奇な事実を、わざわざ小説にしてしまうのだ。万一事実よりつまらなくなったりしたら、事実のほうにかかわった人々に詫びても詫びきれまい。
 その点この作品は、バカタール加藤氏自らが解説の項で「この小説が書かれたこと、長嶋有のすごさを体感できたことが、エロマンガ島関連の出来事で一番衝撃的でした」と、お墨と太鼓判と熨斗と金メダルをつけて絶賛してるのだから、その点の心配はないだろう。

 道路はおろか滑走路にすらアスファルトがなく、電話も電気もガスも水道もなく、日々の糧を取るということ以外に職らしい職もない。秒進日歩の世界の片隅に取り残され…否、生き残った楽園は、特別さにあふれているわけではなく、なんいもないがいっぱい詰まっていた。

 冒頭私は、この本を読んでからインタビューに臨みたかったと書いたが、気持ちのどこかで、インタビューしてから読んでよかったと思ってもいる。
 インタビュー中、氏が頭をせっせと働かせながら、その観察眼で吸収した事象を具に語ってくれた姿が、一行ごとに目に浮かんでくるのだ。この感触は氏を知る人にしか味わえないだろうなと思うと、ちょっと優越感が持てる。
 しかしてこれを読んでからインタビューして、この事について直接聞きたかったなぁと思いもする。それほどまでにこの物語は眩く魅力的なのだ。

 本書には他にも4本の短編が収められている。
 穴の開いたビルに暮らす5人の奇妙な関係を描いた「女神の石」と、不可思議な夜のゴルフコースを回る男と少女が主人公の「アルバトロスの夜」という二本のSF短編。
 仕事も女もデキる男が受け取った一通のメールから始まる、ちょっと乾いた官能小説「ケージ、アンプル、箱」
 そして長嶋有が仕掛けた小さなトリック。あの島を訪れたあの男の秘密を描いた書き下ろし短編「青色LED」
 いずれもさらっと読めてじわりと脳に沁みてくる、文学作品かくあるべしと言える名著ばかりである。

 こんなにも楽しめる媒体が600円弱で買えるのだ。本はまだまだ、娯楽の横綱であり続けられる。そんな実感さえ持った一冊であった。

 蛇足になるが、本作を初めてご覧になる方は、是非当ブログの加藤氏のインタビューを一読してから読んでいただきたい事。
 加えて可能であれば、アニメ「ギャートルズ」のエンディングテーマ「やつらの足音のバラード」をご準備頂きたい事を書き添えておく。本書を一層楽しめるかと存じます故。


エロマンガ島の三人 (文春文庫)エロマンガ島の三人 (文春文庫)
(2010/07/09)
長嶋 有

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